信頼関係がない人からいきなり高額商品を購入できますか
先日、私の携帯に見知らぬ番号から電話がかかってきました。とりあえず出てみたら「○○証券の△△です」と元気そうな声。○○証券?そんな会社は聞き覚えが無いし、何より何で私の携帯の番号を知っているのだろう?と考えていたら、ピンときました。2年以上前に名刺交換会に参加したことがあって、そのとき名刺を交換した一人に○○証券の人がいたことを思い出したのです。
「このほど弊社ではブラジル国債を扱い始めました」といきなり営業トークが始まったのです。私は名刺交換をした人ですので、一応相手の話を聞くだけ聞いていました。とはいえ2年以上も会っていませんし、何の連絡もなかった人です。私とすれば、よくいきなり電話して来れるもんだなと思っていました。それでも先方はこの商品がいかにお得かを懸命に説明しています。
正直「面倒くさい電話だな」という気持ちで「まぁ考えておきます」といって電話を切ったのですが、その一言がまさに「面倒くさい」結果になってしまいました。
その日以来、ほぼ2〜3日おきに電話がかかってくるのです。番号を見てわざと出なかったり、たまに出たとき「今、手が離せないので」と言えば「何時頃なら大丈夫ですか?」と聞かれたりする始末。
このままではいけないので、購入する気がないことを伝えようと思いました。次にかかってきたとき、よくよく聞いてみると電話の主は名刺交換した人ではなかったのです。同じ会社の同僚で、私の名刺を見て連絡してきたと言うのです。それを聞いて唖然としました。まるで接点もない見知らぬ人から何十万、何百万もの商品を勧められて、それがいかに魅力的であってもすぐに購入する人がいると思っているのでしょうか。少なくとも私には考えられません。
「何の信頼関係もない人からいきなり高額な商品を購入する気はありません。売り込む前にするべきことがあるのではないですか?」と伝えても先方は意味が分かっていないようでした。私から教えることもないので「分からないなら自分で考えなさい」とだけ言って電話を切りました。それ以後、連絡してくることはなくなりました。
今回のようなことは先生も経験されているかもしれませんね。いきなりの営業電話、忙しいのにいちいち対応していられるか!と思われたことはありませんか?
また飛び込みで来院された新規の患者さんに、いきなり高額治療を勧めることはありえないと思います。それが患者さんのことを思って勧めたとしても、患者さんはいきなり言われてもすぐに「はいそうします」とは答えられないと思います。なぜならその時点ではまだ先生と患者さんに信頼関係ができていないからです。何度も会って相手のことが分かって徐々に信頼関係が生まれてくるものです。
そういった意味でもニュースレターが果たす役割は大きいのです。直接相手に会わなくても定期的にニュースレターを読んでもらうことで、少なくとも患者さんは先生のことをよく知っているという疑似体験ができ、「よく知らない先生」から「信頼できる先生」へと気持ちが変わります。
患者さんと先生の信頼関係を築き上げることで、お互いに最良の治療が気持ちよくできるのです。そのためには、多少時間はかかりますがニュースレターは大きな武器となるのです。