継続は力なり

 ニュースレターの発行をご検討されている先生にお会いすると、よくこんな話を聞きます。

 「一度発行してみて、すぐに結果が出れば続けてやっていきたい」

そんなとき私は

 「一度の発行で目に見えて効果が出るものではありません」
と答えています。

 突然ですが「ザイオンス効果」をご存知でしょうか?

 1968年、アメリカの心理学者ロバート・ザイオンスが論文にまとめ知られるようになった「ザイオンス効果」とは、初めのうちは興味がなかったり、苦手だったりしたものも、何度も見たり、聞いたりすると、次第によい感情が起こるようになってくる、という効果で、単純接触効果ともいいます。

 例えば初対面の人と親しく話すことはごくまれです。でも2回目に会ったときは最初の時よりも親しみを覚え、会う回数が増えれば増えるほどその人に好感を持ちやすくなります。

 営業マンならお客様のところにとにかくマメに顔を出し、その際、商品を売り込むのではなく自分を売ることが大切だ、とよく言われます。また、メーカーから新商品が発売された時、同じテレビCMが短期間に何度もオンエアされたりします。

 これらはすべて「ザイオンス効果」を利用しているのです。

 歯科医院の場合はどうでしょうか。頻繁に患者さんの家を訪問するなんてことは現実的ではありません。目にする回数が多いほど好意を持たれるのなら、実際に会うことが無理でも何か目に触れさせることができれば、接触を続けることの効果がありそうですね。

 そこで考えられる方法としてニュースレターがあります。患者さんが興味を持ってくれそうな情報をニュースレターとして発信することで、実際に顔を合わせなくても定期的に患者さんと接触ができるのです。接触ができれば忘れられることもなく、患者さんは親しみを覚えてくれるはずです。

 しかしこれはあくまでも売り込みが主体ではないニュースレターだからこそできるのことで、セールスチラシを定期的に患者さんに渡しても同じ効果は期待できません。

 ここで最初の話にもどりますが、ニュースレターは「一度発行すれば、すぐに結果が出る」ものではありません。通常の広告ならば、出したらとたんに予約の電話が何本入るかで効果測定が可能ですが、ニュースレターは即座にはっきりとした効果が見えないのです。言い換えれば、患者さんの直接的な行動よりも「心」「気持ち」に働きかけるといえるでしょう。だから目に見えて効果が出たと感じにくいものだと思います。

 でも継続することで確実に患者さんの心や気持ちを動かし、先生との会話が増え、それがリコールや紹介に繋がっていくものです。デジタル全盛の現代で、いかにもアナログ的なニュースレターですが、先生の医院経営に計り知れない力を発揮してくれます。

 とりあえず試しに一度だけでも発行してみて、その結果が良ければ続けてみようという考えならば最初から発行しない方がいいのかもしれません。

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