楽しくなければ・・・

 ニュースレターは患者さんと医院の距離を縮めることに大きな力を発揮します。だから一回で終わるのではなく、定期的に発行して患者さんに読んでもらうことが大切です。

 しかし、読んでもらうためには、ただ発行を続けるだけでは意味がない場合があります。

 例えば、歯科医院が発行するのだから専門的な歯科医療の話ばかりでは読んでいる方も疲れてしまいます。また、いつも新しい治療法のキャンペーンのお知らせとか、新たに導入した機器の説明といった医院の宣伝ばかりではすぐに飽きられてしまいます。

 つい先日もある医院でこんなことがありました。

 その医院では、この夏にかなり高額な治療のための機器を3種類も立て続けで導入されたのです。投資金額も外国車が何台も買えるほど。もちろん先生はそれらの機器を使って治療すれば患者さんにとってプラスだという考えのもとです。

 それでニュースレターのほぼ全面を使って機器の説明を入れて患者さんに知ってもらおうとしたのです。

 私はその話を聞いてちょっと不安になりました。その内容で果たしてニュースレターの役割を果たすのかどうかと。でも先生はどうしても載せたいとおっしゃるので、その内容で作ってみました。

 デザインが出来上がって校正を見ていただくと「何か思っていたのと違う」と一言。よく聞いてみると別にデザインが悪いわけじゃない、ただ読んだ人が興味を持ってもらえるか不安だ、ということでした。

 まさに私が感じていたことと一緒です。読んでもらうためには、楽しくなければならないのです。先生が伝えたいことと、患者さんが知りたいことは必ずしも同じではありません。

 結局、この先生は「そういえばこの前、久しぶりに魚釣りに出かけたんだ」という話になり、そのときスマホで撮影した写真もたくさんあったので、最新機器の紹介は半分以下にして、魚釣りの内容で一ページを使いました。出来上がったニュースレターは先生が釣った魚を抱えながら笑顔で写った写真が大きく掲載され、十分楽しさが伝わります。

 何でうちの医院が発行しているのに、個人的な遊びのことを載せるのか、と思われるかもしれません。でも読者である患者さんは、「生身の先生」を知りたいのであり、その部分を出すことによってより一層親近感がわき、身近に感じられるのです。

 ニュースレターは売り込みのチラシやパンフレットとは異なります。「生身の先生」の情報を伝えることに力を注ぐべきです。

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