顧客情報管理

 ある飲食店での話です。その店は郊外に大きな駐車場を完備した、美味しくリーズナブルな焼肉店として地域で人気があります。週末はもちろん、平日でも満席になる日も珍しくありません。とはいえ派手に広告を出しているわけでもないのです。ターゲットは家族連れですが、年末などは大きな宴会も数多く開かれています。

 その店の特徴は、来店されたお客さんにその日から特典が付く無料会員を募集していることです。申込書に名前や住所、生年月日を家族も含めて書いてもらい、会員カードを発行します。特典があるのでお客酸は再来店時にカードを提示します。これでいつ、誰が、いくらの売上があったか、それをすべてデータベース化することが可能になるわけです。

 確かに手間がかかる作業ですが、そうすることで特定のお客さんにイベントなどのDM発送が簡単にでき、なおかつその反応率も高くなります。

 だから派手な広告を打つことがなくても毎月、安定した売上が見込めるというわけです。

 その店のオーナーが、新しく駅の近くに仕事帰りのサラリーマンやOLをターゲットにした居酒屋を出店しました。ところがその店は手間がかかるし、対象がファミリー向きの店ではないという理由で、顧客情報を一切集めなかったのです。オープンしてしばらくは珍しさもあってそこそこ繁盛していたのが、半年もしないうちに客数がどんどん減少、何か手を打たなければとフリーペーパーに広告を出したのです。はっきり言って高額な広告料金です。それで客足も伸び、売上も回復したのですが、あくまでそれは一時的なもので、すぐに前の状態に戻ってしまいました。結局、再度広告を出したのですが、今度は以前に比べて反応が弱くなっています。経費はかかり売上はそれほど伸びず、今この店のオーナーは苦境に立たされています。

 この二つの店の差は何か?ポイントは再来店するお客さんの数の違いです。広告でお客さんを集めても、それっきりで何もフォローしていない場合と、再度来店してもらえる仕組みができていて、なおかつイベントやお客様の誕生日にDMを送り続けている場合とでは売上・利益に大きな違いが出て当然ですね。

 再度来店してもらえる仕組みとは、会員カードを発行し、顧客情報を管理すること。でもそれだけでは宝の持ち腐れになってしまうので、その情報を活用してお客様にアプローチすることがとても重要になってきます。

 歯科医院に置き換えてみると、まず顧客(患者)情報はすべて揃っているはずです。つまりリコールハガキやニュースレターで積極的にアプローチできる環境は整っています。ホームページや紹介等で新規の患者さんが来院されても、治療が終わればそれっきりで、何のアクションも起こさない場合と、積極的にアプローチする場合とを比べれば、再来院される可能性は大きく違ってきます。特にニュースレターは売り込みがほとんどないので患者さんにとっても抵抗がありません。

 飲食店でお客さんが「また来たいな」と感じても、店側からアクションが無ければ、ほとんどの方は再来店しません。その最も大きな理由は単に「忘れていたから」に他ならないのです。

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